レナ、という役はもちろん自分の作った役ですからたくさんの思い入れがあります。もともとレナは、名前が示すとおりに聖女のような心の広い、清らかな人にしようと思っていました。夫を殺されているのにEDENを憎まず、ソルを助けることを選択したからです。しかし物語を進めていく中で、レナはきっと、“こうあるべきである”理想の姿と、“今こうである”現実の姿との中でずっと葛藤していたのではないかということに気が付きました。ですからレナは聖女ではありません。聖女であろうとする、普通の人間なのです。

　人間にとって、衣食住は生きるためには必要不可欠です。野営地の家事全般を担うレナは、“母親”というものは、やはりとても大きな存在なのである、と思っています。ですから私自身はそんな母親を、精一杯演じたい、と思っています。

　荒廃した外界において、レナはたくさんの死に直面する中で、過去を後悔するよりも前を向いて進むことの大切さを学んだのでしょう。彼女が言う、“大切な人の死は、次の生に巡ると信じているから”という言葉はまさにそんな彼女の思いを表していると思います。物語通して、息子のスカイが、ランやラピスが成長していくのも、優しく見守っていきたいと思います