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​Cast Comment

​ソル(太陽) 演:長津宏夢

非常にやりがいのある役でした。物語の起点と終点、この二つを担うルナとソル。人々を守るために人格をも投げ打った妹に対し、すべての命を守るという理想論を口にしながらも妹や自分を守ろうとしかできない兄。この対比が強く印象に残っています。

 彼はとても臆病です。臆病な自尊心、尊大な羞恥心なんてものを学んだ覚えがありますが、その言葉のごとき人物かなと。確立された理想、思想は持っているはず。だけれども、いざというときに英断はできない。劇中、「君のことを決められるのは君自身だけだ」という台詞があります。彼は実際にそう思っているのでしょう。それが理だととわかっている。それでも、自分は妹の元へと戻ることができない。自分自身は自身の弱さに決断を委ねてしまっている。答えとプロセスがわかっていても、気持ちの面で踏み出せない。さぞ悔しいでしょう。苦しいでしょう。けれど涙も流せない。流さない。この本で一番悲しい役はと尋ねられたら、間違いなくソルだと答えますね。

 そんな彼が最後にアリアに放つ言葉。「君はもう自分の目で世界を選べるはずだ。」ルナと共にあることを決意したソルは、この言葉を自身に向けたのだと、そう思います。お話の最後に彼は、物語によってでもなく、己の弱さによってでもなく、彼自信の手によって決断をする。脆い心ではなく強い心で。決して揺れ動かない決断を。

 そんな彼を愛してあげてください。いえ、そんな彼が愛されるように演じきりたい。一片の迷いもなく。この役を演じる以上の幸福は、この先ないでしょうから。

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